ウィーンで見たフェルメールとブリューゲル

こんにちは。
ウィーンで見たアート、第2段です。
今回は、美術史美術館で見た、フェルメールとブリューゲルの紹介です。

まずは、美術史美術館の雰囲気をご紹介!

トップの画像は、美術館正面の様子です。
左右の入り口にそれぞれ人の列ができていますが、これ、特に違いはないみたいです。
日本なら、右は”前売り券持っている人”、左は”当日券買う人”みたいな設定がありますが、少なくともこの日はそうした設定はありませんでした。
しかも、写真ではまあまあ並んでいるように見えますが、待ち時間はほとんどありませんでした。
そして、美術館の中はこんな感じ↓

もうね、実に快適!
何が快適って、人が少ない。というか、多く感じない。(日本みたいに列を成さないからかな?)
入り口の写真の通り、それなりの人が入っているはずなのですが、展示スペースはこんな感じ↑なのです。
これなら、どの絵からでも、好きなように、自由に鑑賞できますね。
それに、展示スペースの中央には必ずソファー!
これは、本当にありがたいです。疲れたら、ちょっと休めます!

それにしても、展示スペースがごった返しているのは日本の美術館だけじゃないのか?って、いつも思います。
だって、写真の右端の作品を見てください。
これ、ブリューゲルの「バベルの塔(大)」ですよ!
こんな感じでフツーに、何事もなかったかのようにそこに超有名絵画があるのが海外の美術館です(僕の勝手なイメージ)。
本当に、日本の企画展なら、この1枚で大賑わいですよ。
実際、2017年に日本で開催されたブリューゲルのもう一枚の「バベルの塔(小)」(ボイマンス美術館所蔵)の来日企画展は、東京、大阪両会場での147日間の会期の来場者数が約65.8万人でした(→情報ソースはこちら)。
この数が、どの程度の数字かというと・・、
単純に、チケット売り上げに換算してみましょう!
一般前売り券が1,400円でしたので、単純計算でも約9.2億円の売り上げ!
ちなみに、美術史美術館の年間入館者数は約76.9万人ですが、この美術館の入館者ランキングは世界のトップ100に入っているレベルです。
このことからも、いかに日本の企画展には多くの人が集まっているのかお分かりいただけるのではないでしょうか。

ブリューゲルを見る!

さて、この「バベルの塔(大)」(下記写真参照)、これは本当にみんな見たことありますよね?
旧約聖書の有名な「バベルの塔」をモチーフにした空想絵画ですが、バベルの塔と言ったら、みんなこの絵をイメージするのではないでしょうか。
ピーテル・ブリューゲル1世の傑作です。
この絵は、とにかく細かな描写が画面全体に広がっているので、よく見るといろいろな発見があります。
バベルの塔のいたるところで、多くの人が作業している様子が描かれています。
 Wikipediaでは、詳細な画像データをダウンロードすることができますので、興味がある方はぜひご覧になってください。
本当に細部まで、いろいろな場面が書き込まれていて楽しい絵画です。

ブリューゲルをもう1点。
上記写真の絵画も、みなさんご存知なのではないでしょうか。
ピーテル・ブリューゲル1世の「雪中の狩人」。
これも、書籍などで良く見る作品です。
僕の中ではずっと、ブリューゲルといえばこの絵だったのですが、これまでオリジナルを目にする機会はありませんでした。
ですので、ここに来て、これを見るというのは、この旅の重要な目的の1つだったのです。

フェルメールを見る!

次は、フェルメール。
といっても、ここにあるのは1点のみです。
フェルメールの「絵画芸術」。
この絵、実は何度か来日しています。
僕は、日本で2度見ていますので、今回で3回目の鑑賞!
日本では、やはり大変な人ごみの中での鑑賞でしたが、ここでは本当に快適に鑑賞できました。
日本の企画展でよくあるのが、「歩きながら見てください!」というパターン!
または、「近くで見たい人は前列に並んでください! 後列でもいい人は並ばず進んでください!」というパターン。
どっちも嫌ですよね!
でも、ここウィーンでは、そんな話は皆無です。
この絵の前にどれだけ立っていても問題なしです! ホント快適!
前回紹介したクリムトの「接吻(恋人たち)」の前には観光客がいっぱいでしたが、列にはなっていなかったですね。
列をなすのは日本の特徴?

さて、この「絵画芸術」、画家フェルメールのPRツールだったという話があります。
つまり、絵描きとしての技量を画面に凝縮させ、顧客に見せるために自らのアトリエにいつも展示していたようです。(と、いう話があります。)
つまり「営業ツール」、または「カタログ」、もしくは「看板」ですね。

そして、この超有名絵画も、美術館内の窓際に、本当にさりげなく展示されていました。
このようなオランダの風俗画は、宮殿用の絵画ではなく日常的な空間で鑑賞されていたものなので、美術館の中でも割とさりげない、回廊のようなスペースにあえて展示しているそうです。
先ほどの、ソファーがある展示スペースは、どちらかといと宮殿のイメージですが、これとは違う別の空間に展示されていました。
美術史美術館においても、間違いなく主役級の1点であるはずですが、展示に対する考え方がさすがですね。
ちょっと驚きました。

おまけ!

最後に1つ、美術史美術館で印象に残った展示をご紹介します。
写真の展示、ちょっとわかりにくいと思いますが、大きい絵と小さい絵は同じ絵なのです。
たしか、ルーベンスの作だったと思います。
小さい方は「習作」で、大きい方が「本番」なのですが、これ、小さいといっても結構大きいですよ。(写真の人物と比較すると、まあまあ大きい絵だとわかりますよね?)
しかも、習作といっても全く荒く描いてはいないのです。大小のクオリティはほとんど同じ。
でも、美術館で2点を比較して見ると、大判であることの効果が本当に実感できます。
迫力が全く違いましたね。
でもまあ、これ、とても家には置けないレベルですから、こんな大判を描くことも所有することも多分無いと思いますけれど・・。

以上、ウィーン美術史美術館で見たアートの紹介でした。
次回は、最終回! ウィーンで見たフンデルト・ヴァッサー!です。
フンデルト・ヴァッサーは、本当にいいですよ!笑